究極のパンプス用ソックス「はかないくつした」

長かった夏が終わり、やっと秋らしくなってきましたね。パンプスを履く時期になると、毎シーズン悩むのが靴下問題。…と、ここまで書いたところで、3年前の秋にも同じ悩みを吐露していたことに気づきました(笑)

3年前におすすめした靴下は、もちろん何度もリピート購入して履き倒しました。当時、個人的にベストなアイテムでした。しかし、どうしても縫製のつなぎ目が気になってしまったり、洗濯して伸びてくるとキレイに足にフィットしなくなってしまったり…と不満が出てきてしまい、また新たな靴下を探し続けていました。

そして、ついに究極のソックス「SUASiC」にたどり着きました。なんと、キャッチコピーは「はかないくつした」!ナニソレ案件ですが、パンプス用ソックス難民としては試してみたい衝動を押さえきれず、とりあえずポチリ。購入してしまいましたのでご紹介します。

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目次

はかないくつしたSUASiC(スアシック)とは

靴下やストッキングなどのレッグウェアを主とした衣料品メーカー、株式会社ナイガイが開発した新しいタイプのレッグウェアです。

中敷のようなシート状で、靴内部に直接装着して使用する商品です。繰り返し洗濯可能で、素足で靴を履いても靴下を履いたときのように汗を吸い、快適に過ごすことができます。

2022年5月下旬~7月初旬にクラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」に挑戦し、目標金額を上回る支援を受けて一般販売に至りました。

CAMPFIRE商品ページ
https://camp-fire.jp/projects/view/570582

パッケージの内容物

パッケージ内部には、1足分のスアシックが入っています。

パッケージ内容
  • スアシック…左右各1枚
  • 型紙…1枚
  • 説明書…1枚
SUASiCパッケージ内容

きれいにサイズカットする方法

  1. 付属の型紙を自分のサイズ+5mmの線でカット
    あとからサイズを微調整できるよう、少し大きめにカットしておきます。
  2. カットした型紙を靴に入れてみて、型紙のサイズと形を微調整
    入れにくければ、つま先はやや短めにしても大丈夫です。靴の設計上、つま先には捨て寸(足が入らない空間)があります。実は靴内部を覗き込むと中敷が中底より短いことも多々あります。
  3. 製品裏面(剥離紙のほう)に型紙をペンで写す
    スアシックは薄くてペラペラなので、型紙を当てながら一緒に切るのは難しいと思います。面倒ですが、ペンで型を写してからカットしたほうが作業性が良いです。
  4. 写した線に沿って裁ちばさみでカット
    製品の材質的に工作用のはさみでは切りにくい為、よく切れる裁ちばさみを使うのがオススメです。かかとのカーブはガタガタになると目立つので、できるだけ途中で刃の入れ直しはせず、製品を回転させながら1カットでカーブを切り終えるようにすると仕上がりがきれいです。

上手に装着する方法

説明書記載の型紙を使った装着方法は難しい

添付の説明書によると、装着しにくい場合は、

型紙の上に本品を重ね、つま先部に挿入した後、型紙だけを引き抜いて装着してください

とありますが、説明どおりにやってみても上手く装着できませんでした。(私だけ?)ペラペラな上、粘着力がないため、想像よりも扱いにくいと感じます。

靴職人直伝の中敷貼付手法で装着するのがオススメ!

職業柄、中敷は数え切れないほど貼ってきましたが、靴作りの工程で行う中敷貼付作業には、靴種によっていくつかの手法があります。その中でパンプスによく使う手法がスアシック装着に応用できると思ったので、その手順をご紹介します。

  1. 靴のかかとが手前、つま先が奥になるように自分の前に置く
  2. スアシックのかかと側を靴に挿入し、靴の内部を覗き込むようにして、かかとのセンター位置を決める
  3. かかとの位置が決まったら、スアシックが動かないように片手でかかと側を軽く押さえる
  4. かかと側を押さえたまま、逆の手でスアシックのつま先側を持ち、靴のつま先とスアシックの向きを合わせる
  5. かかと→つま先に向かって少しずつスアシックを押さえていき、全体を靴内部に敷く

なお、こちらの方法はパンプス向きの装着方法です。紐靴などの甲が深いデザインの靴はこれでは装着しにくいと思いますが、そもそも甲が深い靴は普通の靴下を履くと思いますので、基本的にはスアシックはこの装着方法がオススメです。

パッケージ記載の「5つの機能」を検証

スアシックのパッケージには、以下の5つの機能が記載されています。

SUASiCパッケージ記載の5つの機能
  1. 綿混素材を使用 ムレにくく 繰り返し洗濯可能
  2. 抗菌防臭加工 ニオイ・衛生対策
  3. 立体凹凸編み ベトつきにくく 歩きやすい
  4. 優れたグリップ力 薄くて ズレにくい
  5. 高分子樹脂シート加工(底面) 衝撃吸収クッション

上記5つの機能について、真偽のほどを検証してみました。

綿混素材でムレにくく、繰り返し洗濯可能?

最高気温32度の中、パンプスに丸1日装着してみましたが、ムレにくいかどうかは正直微妙です。足が靴に覆われている事実は変わらないので、「ムレるけど、汗が溜まらないので不快感が軽減される」という感じです。

洗濯ネットに入れて洗濯機で洗ってみましたが、カットした端が解けてくることはなかったです。数回洗ってみた感覚としては、滑り止めシリコンつきの靴下と同様の取扱い方でOKなので、気軽に洗えて良いと思いました。洗濯回数の耐久性がどれくらいなのかは気になるところです。

抗菌防臭加工で臭わない?

私は足裏に大汗をかくほうですが、丸一日装着して湿ったスアシックは臭くなりませんでした。普通の靴下と同様に毎回洗濯するものなので、洗濯さえきちんとすれば臭わないのではないでしょうか。

むろん、同じ靴を毎日履く人は靴自体が臭いので抗菌防臭加工の効果は感じられないでしょう。

立体凹凸編みでベトつかない?

靴下業界の老舗だけあって、「リンクス編み」といわれる靴下編みの手法で凹凸が作られているそうです。

ポロシャツによく使われる鹿の子素材のような肌触りで、汗をかいてもくっつことはなく快適です。パンプス用の浅履きソックスは汗で湿ると不快なものが多いですが、スアシックはドライ生地の靴下を履いているような感覚です。

優れたグリップ力で薄いのにズレにくい?

靴の中敷の素材によると思いますが、一般的なスムース材の合皮や革の中敷であればグリップの効き目は良好です。(起毛素材や生地の中敷には使用できないと思います。)

樹脂面に粘着力はなくベトベトしていないので、装着前は「本当にグリップ力あるの?」と疑問でしたが、靴に足を入れる際に撚れることはなく、履いてしまえば体重で圧着されて靴にピタッとくっつきます。歩行時にスアシックがズレることは全くないので、普通の靴下を履いているより足が滑らず歩きやすいと感じました。

靴を脱ぐときも、スアシックが足にくっついて捲れることはなく、これは良い意味で驚きでした。

高分子樹脂シート加工で衝撃吸収される?

衝撃吸収クッションと書かれていますが、厚みがなくペラペラなので「クッション」という表現は適していないと思います。

衝撃吸収力については、そこそこあるような気がします。7.5cmのヒールパンプスで装着時/未装着時の歩行比較をしてみたところ、装着時のほうが着地の瞬間のヒールのブレがなく歩きやすいと感じました。

結局のところスアシックはアリなのか?

個人的にはアリ!装着にはコツが必要ですが、慣れれば一瞬です。何より、靴下がはみ出す心配がゼロ!以前にも書きましたが、パンプス用の靴下がパンプスからはみ出ているのは、ブラジャーの肩紐が見えていたり、腰から下着がはみ出ていたりするのと同じような恥ずかしさを覚えます。その心配が一切ないのはエレガントです。

一回り小さくカットして爪先も落とせば、サンダルにも良いのでは?と思います。来年の夏には試してみようと思います。

総合評価
  • パンプスから靴下がはみ出す可能性がゼロ。
  • 薄いので靴のサイズ感に影響が殆どない。
  • 足裏がベトつかず、不快感が減少。
  • 普通の靴下より靴の中で滑りにくく、歩行が安定する。
  • 気軽に洗濯可能。
  • 装着にはコツが必要。
  • 靴の中敷形状や素材によっては使用できない場合もある。
  • ライニングには直接足が当たるので、ライニングの汚れや傷みは防止できない。

欲を言えば、もう少し安価であれば嬉しいですね。大量生産により価格が下がるという未来を夢見て、地道な普及活動に励みます。(笑)

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この記事を書いた人

1978年生まれ。工業高専の建築学科を卒業後、大手サッシメーカーに就職。20代は事務職を転々としながら、音楽制作やインターネットラジオの制作運営に明け暮れる。30歳のときにバンタンキャリアスクールで靴作りを学び、靴業界へ転職。現在は神戸市長田区の靴企画会社にて、事務職と企画職を兼務中。

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